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Writer's pictureDr. Yu Harumi

「百害あって一利なし」のカウンセリング

Updated: May 21




皆さんの中にはこのタイトルを読んで一瞬「えっ?」と思われた方がいらっしゃるのではないでしょうか?私は心理カウンセリングは立派な心のケアの方法の一つだと考えており、全般的には「得はあっても損はない」と思っています。ただ、これまで心のケアの現場に携わってきた経験から考えて、カウンセリングが「百害あって一利なし」というケースもゼロとは言えないとも思います。今回はそういったケースで特に頻繁に見られるものを一部紹介いたします。


 1.他人に強制されて嫌々ながら行くカウンセリング:私がカウンセリングの初診のアポで必ず相談者に質問するのが「過去のカウンセリング歴の有無」です。イエスと答えた人に対しては何故カウンセリングを受けたのか、どのくらい効果があったかといったことを聞くのですが、「子供の時に親に受けさせられた」「職場や裁判所などの命令で」「自分は気が進まないのに配偶者にカップルでのマリッジ・セラピーに行かされた」などという答えをよく聞きます。その効果について聞くと「覚えていない」「役に立たなかった」「時間の無駄だった」というのがほとんどです。


 2.「問題を短期間で解決してもらう」カウンセリング:私はこれまでアメリカの大学のキャンパス内にある学生カウンセリングセンターで何年も臨床心理士として過ごしてきたのですが「勉強する気が起こらないから何とかしてほしい」という理由で相談に来る大学生を幾度となく目にしてきました。やる気の低下が理由でカウンセリングに来るのは別に悪いことではないと思いますが、中には心理士からアドバイスをもらうだけで問題が解決すると信じ込んでくる人たちもいます。そういった形で簡単に解決につながるケースもないわけではありませんが、すぐに目に見える結果を求めてくる場合、往々にして失望感を味わうだけで終わってしまう。


 以上の点から考えて、カウンセリングを「受けてよかった」という経験にするために、私は次の3点をお勧めいたします。「本人の意思を尊重する」「子供などの場合は、とりあえず2、3回までと期間限定で試してみる」そして「カウンセリングに過度の期待はしない」。この3点を念頭においてカウンセリングを受けてみれば「得はあっても損はない」体験につながるのではないかと私は思います。

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