top of page
Writer's pictureDr. Yu Harumi

「適応障害」って?

 日本では4月から5月にかけて進学やクラス替え、就職、転勤、人事異動、ゴールデンウィークなど新年度を象徴するイベントが目白押しで、それに伴った生活環境や日常生活の大きな変化への適応に苦しみ、心身の様々な症状となって現れる状態は「五月病」として知られています。五月病のように一時的なストレスとなる出来事や環境の変化などが引き金になって、うつ病や不安症などに見られる症状を引き起こすという状態は私の業界では「適応障害」と呼ばれています。

 適応障害にもいろいろな種類があり、抑うつ気分を伴う・不安を伴う・不安と抑うつ気分の混合を伴う・素行の障害を伴う・情動と素行の障害の混合を伴う・そして特定不能のものと6種類に分類されています。この6種類のうちのどのタイプを発症するかは、個人及び状況によるため一概には言えませんが、外的要因によって引き起こされる、そして一時的なものであるという点ではみな同じです。

 うつ病や不安症などが脳内の信号伝達機能のバランスの低下、遺伝、性格や生い立ちなど、どちらかというと目に見えない「内的要因」が原因で引き起こされるのに対して、適応障害ははっきりとした環境的な「外的要因」によって症状が3か月以内に引き起こされ、こういった状況がひとたび終結・変化するとその後半年以内に症状は治まるというものです。このように一時的なものとはいえ、これらの症状が日常生活、仕事、学業、人間関係などに目に見える形で悪影響を及ぼすことは十分あり得るので、注意する必要があります。またうつ病や不安症などの精神疾患とははっきりと区別されており、対処法も大きく違ってきます。症状によっては他の精神疾患と重なる部分も多いため混同しやすいこともしばしばです。正しい診断を受けるためには、専門家に相談する必要があります。

 「自分は適応障害では?」と思われた方は、環境の調整を試みる、自分に合ったストレス対処法を見つけ実践する、十分な睡眠・適度の運動・バランスのとれた食事といった体のケアに努める、周囲の人に支援を受ける、状況・環境が変えられないのであればせめて考え方・見方を変えてみる、またこういった適応障害対策の専門家に相談する、などといったことをお勧めします。


4 views0 comments

Comments


Post: Blog2_Post
bottom of page