よくある質問
「カウンセリングって何ですか?」
カウンセリングとは、相談者が定期的(毎週・隔週等)に臨床心理士や精神科医、あるいはカウンセラーと1対1で会って、自分の悩みや困っていることについて相談することです。そういったことについて、自分が考えていることや感じていることなどを話しながら、自分にとってよりよい方向に進めるようにカウンセラーと一緒に歩んでいく形で行います。
「どんな人がカウンセリングを受けるのでしょうか?」
日本ではカウンセリングというと、深刻な心の悩み、精神病などを抱えた人、あるいは精神的に弱い人だけが受けるものというネガティブなイメージがまだまだ根強いようですが、ここアメリカでは、一般的にはカウンセリングというのは何もそういった人たちだけでなく、ごく普通の悩み(例えば日常生活のストレス、カルチャーショックやホームシック、人間関係の悩みや問題など)を抱えた人たちが受けるというのは、ちょうど医者に通うのと同じような感覚で、生活の一部として捉えられています。また、特にこれといった悩みはないけれど、もっと自分自身をよく知ってみたいという人、あるいは、精神的な悩みや問題を抱えた家族、友人に対してどう対処していったらいいのか誰かに相談したいという人がカウンセラーのもとに話しに来るというのもよくある話です。
「カウンセリングはどこで受けられるのでしょうか?」
臨床心理士およびカウンセラーが個人で開業しているオフィスやメンタルヘルスクリニック、あるいは病院の精神科はもちろんのこと、職場によっては人事課の従業員援助プログラム(Employee Assistance Program)を通して職場(あるいは職場と専属契約のある臨床心理士・カウンセラーのオフィス)で受けられることもあります。またほとんどの大学には学生が無料、またはそれに近い価格でカウンセリングを受けられるカウンセリングセンターがあります。まただいたいどの地区の小学校、中学校、高校にも、在学児童対象のスクールカウンセラーが配置されています。
「臨床心理士と精神科医はどう違うのでしょうか?」
「心理士」(Psychologist)と「精神科医」(Psychiatrist)の違いがよく分からないという人に、私はアメリカでこれまでかなり頻繁に出会ってきたような気がします。日本でも、心の悩みや病を抱えた人、あるいは心理療法、カウンセリングというと、臨床心理士やカウンセラーよりは、精神科医を連想する方のほうが多いのではと思います。PsychologistとPsychiatristの決定的な違いというのは、Psychiatristが抗うつ薬や精神安定剤などの薬を処方する資格があるのに対して、Psychologistにはその資格は、ごく一部の州を除いてありません。カウンセリングを行う精神科医というのも全くいないわけではありませんが、一般的にはPsychiatristが薬物療法を中心とした治療を行っているのに対して、Psychologistは、1対1の対話によって心の問題を一緒に解決していくこと、すなわちカウンセリングを治療の中心としています。学歴の点では、精神科医が医科大学での訓練を受けて医学博士号(MD)を取得しているのに対して、臨床心理士は大学院あるいは心理学専門のプロフェッショナル・スクールでの学業を修めてPhD(哲学博士号)あるいはPsyD(心理学博士号)を取得しています。また、修士号のみを取得しているカウンセラー(Licensed Professional Counselor、Marriage and Family Therapist、Social Workerなど)もいます。
「カウンセリングの費用はどのくらいかかるのでしょうか?」
一般に無料でカウンセリングを提供しているクリニックもあれば、1回のアポイントメントにつき100ドル以上かかる心理士、カウンセラーもいるため、一概に言うのは難しいことですが、大半の保険会社の健康保険はカウンセリングにも利くため、通常の診察代の一部(英語ではCopayと言う)を負担するだけで、通常の保険なしでの診察代よりもかなり安い金額でカウンセリングを受けることができます。保険をお持ちの方の負担額というのは、保険会社およびお持ちのプランによって違ってきます。また、保険会社によってはカバーされるカウンセリングの予約回数が限られている場合もありますので、予約を取る前に保険会社にお問い合わせすることをお勧めします。また、カウンセラーやクリニックによっては皆さんが加入している会社の保険を受け付けていない場合がありますので、直接お問い合わせすることをお勧めします。先ほど申し上げたように、職場や学校、大学などによっては、無料または低価格でカウンセリングを提供しているところもあります。
「カウンセラーはどうやって選んだらいいのでしょうか?」
インターネットや電話帳で「Psychologist」あるいは「Counselor」という言葉を検索すると、ここダラス地区だけでもそれこそ100人以上の心理士・カウンセラーの名前が挙がってきます。その中から自分にあったカウンセラーを一人に絞るというのはかなり難しいことです。また、自分にあったカウンセラーであるかどうかというのは、ある程度までは実際に会ってカウンセリングを受けてみないと分からないという場合がおそらくほとんどなのではと思います。まずは「その1」(7・8月号参照)でもお伝えした通り、皆さんの所属する会社や大学、学校によっては無料あるいは低価格でカウンセリングを提供しているところがあるので、人事課、学生課などに問い合わせるというのも一つの方法です。また、健康保険をカウンセリングに使いたいという方は、保険会社のホームページを通して、皆さんの持っている保険を取り扱っている心理士のリストを見つけることも可能です。あとは「口コミ」で皆さんの周りの人たちに知っている心理士の名前を紹介してもらうというのも手です。さらに、この地域で皆さんの希望する心理士の性別、使用言語、専門分野、オフィスの場所、予約可能な時間、費用、そして取り扱っている保険会社などを特定して検索することのできるホームページをここでいくつか紹介しておきます。
Psychology Today(http://www.psychologytoday.com/)
Dallas Psychological Association(http://www.dpadallas.org/)
Collin County Psychological Association(http://www.psychselect.com/ccpa/)
「カウンセリングのアポイントメントに行く前に準備するべきことは何でしょうか?」
大体どの心理士・カウンセラーのオフィスでも、初診のアポイントメントの前に相談者が記入、あるいは目を通さなくてはいけない書類があります。皆さんが普通の医者に通う時に記入する書類と似たようなものですが、名前や連絡先だけでなく、カウンセリングを受ける動機、現在起こっている精神的あるいは身体的な症状などいろいろな質問事項に書面上で答えるものです。また、書類の中にはカウンセリングを受けることに対する同意書(Informed Consent)、あるいはプライバシー、心理士の守秘義務に関する覚え書きなども含まれていますので、よく読んで理解したうえで署名し、初診のアポイントメントにお越し下さい。オフィスによっては、前もって郵便または電子メールで書類を送ってくれる場所もありますが、場合によってはアポイントメント当日まで渡されないこともあります。いずれにしても、予約時間の少なくとも15分前にはオフィスに到着できるように心がけて下さい。また、健康保険をお使いになる方は、前もって保険会社に連絡して、カウンセリングにどのくらい保険が利くものなのかを確認することをお勧めします。さらに、オフィスによってはクレジットカードを受け付けていないところもあるので、支払い方法を確認することをお忘れなく。
「初診のアポイントメントではどんなことを聞かれるのでしょうか?」
初診のアポイントメントでは、質疑応答形式で次のようなことを聞かれるのが一般的です。(1)皆さんがカウンセリングを受けたいと思う理由・動機(2)現在抱えている悩み・問題の内容と症状(3)健康状態・服用している薬(4)過去の通院歴、入院歴、カウンセリング歴(5)アルコール・タバコなどの使用について(6)学歴・職歴・生い立ちなど(7)家庭環境・交流関係などについて等。また、過去の自殺未遂の有無や現在の自殺の危険性、トラウマとなっている過去の体験など立ち入った質問をされることもあります。皆さんのほうでも、もし書類あるいはカウンセリングそのものについて不明な点があったら、遠慮なくこの機会に直接皆さんの心理士に質問することをお勧めします。
「カウンセリングの予約時間はどのくらいの長さで、何回通えばいいのでしょうか?」
通常のカウンセリングのアポイントメントは、大体1回につき45分から60分と決まっています。普通の医者の場合、予約時間に行ったのにもかかわらずかなり長い時間待たされるというのはよくある話ですが、カウンセリングの場合はよほどのことがない限り、時間通りに始まって時間通りに終わるというのが普通です。カウンセリングで心理士と会う頻度は、相談事の内容や症状、あるいは相談者のスケジュールや経済状態によって違ってくるため一概には言えませんが、毎週、あるいは隔週1回というペースで始めるというケースが一般的です。何回くらい通えばいいのかは、相談する悩みの内容などにもよるため、これも一概には言えません。カウンセリングの良し悪しというのは、1回通っただけでは分からないことが多いので、少なくとも3回から4回は通ってみて、心理士と相談した上で皆さん自身で決めることをお勧めします。